#002 加藤貴裕 ──社員の幸せから、地域の課題を編み直す経営者

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経 営 者 リ ア ル 辞 典
★ #002 加藤 貴裕 / 北海道 芽室町

社員の幸せから、地域の課題解決を編み直す経営者

TSホールディングス株式会社/高嶋コンクリート工業株式会社/有限会社芽室トラック/北海道ベース株式会社/プリンシプルシェア株式会社 代表取締役 加藤 貴裕

第一声

会社は社会の公器である。だからこそ、社員の幸せに寄与することが社長の役割である。

会社は、社長の持ち物である前に、社会から必要とされて存在しているものだと思っています。社会の公器であるためには、ただ利益を出すだけでは足りません。利他的かつ能動的に、地域の課題解決に向かう必要があります。

そのためには、社員一人ひとりが自分の仕事に意味を持ち、成長し、自己実現に向かえる状態でなければならない。そして自己実現に向かうには、安心、承認、成長、仲間との関係性など、多くの欲求が満たされている必要があります。私はその状態を、幸福な状態だと考えています。

だから、社員の幸せに寄与することは、単なる福利厚生ではありません。会社が社会の公器であり続けるための、経営の根幹です。

プロフィール

北海道十勝・芽室町を中心に、生コンクリート製造、砂利採取、大型ダンプ・ミキサー車による運送、不動産賃貸、太陽光発電、児童発達支援事業などを展開しています。

一見すると、業種はバラバラに見えるかもしれません。しかし私の中では、すべて「地域に必要な機能を事業として持つこと」でつながっています。

生コンは地域インフラを支え、運送は地域経済の血流を担い、不動産は人と事業の受け皿をつくる。太陽光は地域資産を収益に変え、福祉は子どもたちと家族の未来を支える。

私の経営の根底には、「会社は社会の公器である」という考えがあります。社会の公器であるためには、会社は利他的かつ能動的に地域の課題解決へ向かわなければなりません。そのためには、社員一人ひとりが安心して働き、成長し、自己実現に向かえる状態が必要です。だから私は、社員の幸せを経営の中心に置いています。

社員の幸せを経営の仕組みに落とし込むのがウェルビーイング経営。地域の課題を解決し、その対価として得た価値をまた地域と社員に循環させるのが価値循環経営。この2つが交わる経営手法を、私は綱結び経営と呼んでいます。

社員と会社、会社と地域、幸せと利益、今と未来。バラバラに見えるものを一本の綱として結び直すことが、自分の経営です。

社名の意味

代表する社名である高嶋コンクリート工業には、創業者が地域の建設インフラを支えるために積み重ねてきた歴史と想いが込められていると考えています。

私は創業者ではありません。だからこそ、まず創業者が何を守ろうとしてきたのかを大切にしたいと思っています。コンクリートは、建物や道路が完成すると表には出ません。しかし、なければ何も建ちません。

私はその想いを受け継ぎながら、ただ生コンをつくる会社ではなく、地域の課題を見つけ、事業として解決し、価値を循環させる会社へ進化させていきたいと考えています。守るべきものは守り、変えるべきものは変える。それが、受け継いだ社名に対する自分なりの責任です。

本音

経営者になって一番感じるのは、最後は誰のせいにもできないということです。社員には生活があります。家族があります。将来があります。会社の判断ひとつが、その人の人生に影響します。だから、決断はいつも重いです。

一方で、地方企業を取り巻く環境は甘くありません。人口減少、人手不足、資材高騰、燃料高、採用難。今まで通りにやっているだけでは、会社は少しずつ弱っていきます。

社員を守りたい。でも、守るためには会社を変えなければならない。ここが一番の葛藤です。制度を整えることも、役職を見直すことも、評価を明文化することも、価格を上げることも、新しい人材を採ることも、すべて未来のためです。ただ、変化には必ず摩擦があります。理解されないこともあります。

それでも、何も決めない優しさは、未来への無責任になることがあると思っています。社長の仕事は、今だけ波風を立てないことではありません。社員が将来も働き続けられる会社に変えていくことです。私は、社員の幸せをきれいごとで終わらせたくありません。

基本データ

  • 創業・設立:約70年前
  • 出身地:北海道帯広市
  • 勤務地:北海道河西郡芽室町・帯広圏
  • 年商:グループ合算 約10億円
  • 従業員数:グループ全体 45名

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